「無駄ではないか」という論議が絶えない静岡空港。 先月、石川知事は、未買収だった用地について土地収用法の申請手続きに入っていくことを決断した。それでも、「土地は渡さない」という反対地権者の意思は変わらない。収用という段階を迎え、地権者は何を考えているのか。
静岡空港は今後どうなってゆくのか。
当初、静岡空港は今年、2003年に開港の予定だった。
それが現在では「2006年11月完成、年度中の開港目指す」ということになっている。開港時期が延びた理由はバブル崩壊以降、深刻な問題となってきた「財源の確保」と、100%になる見通しが見えない「用地の取得」だ。
静岡空港の総事業費は1900億円。用地は462ha。今年度までに費用は7割、工事の進捗は6割まで進んだ。用地の買収率は98%である。地権者は当初292人。このうち4人が今も県の交渉に応じていない。
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反対の地権者たちはいずれも、「県とは話をする気もない」と言う。先月、収用法決断を発表する前に、石川知事が地権者を尋ねた際も両者が顔をあわせることはなかった。
地権者のひとり、松本吉彦さんは「これまでの経緯の中で、県が信用できない」と話す。 |
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 | 大井寿生さんは「納得のいかない事業に土地は渡せない」
「正しくないことを『これだけ進んだから』という理由で許容することはできない」と話す。
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いっぽう、292人の地権者の大多数は土地を県に売った。空港の建設地が島田・榛原に決定した15年前、榛原地区は一丸となって反対運動をくりひろげた。その時のリーダー、平幹夫さんも土地を売っている。 |
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| 当時の反対運動は、茶畑など、生活の基盤が取り上げられて大丈夫か、という不安によるものだった。平さんは、代替の農地など、県とは納得のいく交渉ができたと話す。 |
また、同じように茶畑を売った大関住男さんは、「自分の土地は空港の為に売った。
たくさんの人が使ってくれるような、いい空港を作ってほしい」と言う。 |
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 | 榛原町の坂部地区で、以前いっしょに反対運動をした人たち。
現在は賛成・反対に立場が分かれて、同じ地域で農業をしている。
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賛成している人が期待するように「多くの人が利用し、県の活性化を生む」のか、反対している人が批判するように「全くの無駄であり、県の財政難を招く」のか。
ひとつの目安となるのが、何人くらいが利用するのか、という需要の予測。現在の県の予測は 国内線(札幌、鹿児島、福岡、那覇)で106万人、国際線は年32万人の利用があるとされている。 |
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| ところが、計画当初の需要予測は国内線だけで170万人以上、3年前の試算では120万人ほどだった。景気の低迷がひとつの要因だが、それでも、「ホントに大丈夫?」と言いたくなる減り方だ。 |
この日の放送では、県空港建設局の山村善敬局長が出演。
こうした疑問について聞いた。 |
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| ――収用はいま必要? |
| 山村局長: | 事業が始まって10年。再評価で事業の進捗を示す必要がある。懸案だった土地についても見通し、姿勢を示す必要がある。また、大多数の地権者には賛同をいただいている。空港を作っていくことが責任。 |
| ――需要予測はどんどん減っている。大丈夫か?本当か? |
| 山村局長: | 当初とは景気の見通しがまったく違うことが一因。今回の予測は専門家によるチェックのうえ、現在最高の方法で算出したもの。間違いはない。予測では便数などをかなり絞って予測している。私の実感ではもっと多くの方に利用してもらえるはず。我々としてももっともっと多くの方に利用してもらうようにする。 |
| ――赤字は? |
| 山村局長: | 予測では年100万人以上の利用があり、赤字は出ない。また、赤字赤字というが、運営の黒字・赤字だけが問題ではない。この空港を通して多くの方に、多くの地域との交流をしてもらうことがなにより大切。 |
| ――本当に、無駄な施設にはならないのか? |
| 山村局長: | ならないと確信しているし、ならないよう、多くの人に利用してもらえるよう、我々としては努力していく。 |
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石川知事は8月末までに土地収用の申請をしたいとしている。
「土地収用」とは、知事が「やるぞ」と言ったとたんすぐに土地を差し出さなければならない…というものではない。今後、本当に土地を収用すべき事業なのかどうか、地権者から土地をとりあげても進めるだけの価値がある事業なのかを審査していくことになる。(決着にはおよそ2年かかるといわれる)
静岡空港は「大交流時代に、地域を活性化してくれる事業」なのか、それとも「大借金を生む無駄な事業」なのか。
「土地」をめぐって、「経済の活性化になる」という県側・推進派側と、「赤字を生む無駄な事業だ」という反対派との主張がぶつかりあうことになる。 |