<時代の空気を伝えるジャーナリズム>

「アクセス!静岡・土曜スコープ」は2001年4月にスタートし、只今3年目に入っています。

月〜金のSBSテレビ夕刊では伝えきれない「ニュース」や「企画モノ」をもう一度時間をかけてじっくり伝えようとするSBSの報道特集です。静岡に関するニュース・出来事を詳しく紹介したり、ニュースをヒューマンドキュメンタリーにしたり斬新な切り口で特集を制作しています。

これまで放送してきたものには「静清合併までのドキュメント」「松菱自己破産の日・ドキュメント」「大道芸人の人生」「アフガン現地リポート」「大物中学生力士の挑戦」などがあり、政治・経済・話題・スポーツ…様々なジャンルにカメラが鋭く、時に優しく入り込んできました。放送は生。スタジオゲストに森田実さん(政治評論家)、松木安太郎さん(サッカー解説)、山本昌邦監督など第一線で活躍する方を招いて「今」を熱く語ることもしてきました。

今後も土曜スコープは「静岡の今」にこだわり、SBS報道班が総力をあげ時代を鋭く斬っていきます。みなさまの温かいご支援をお願い申し上げます。

土曜スコープ プロデューサー水鳥誠
 



毎週土曜日 18:00〜18:30

澤木久雄キャスター
誕生日 10月21日
血液型 A型
出身地 浜松市
中澤志月キャスター
誕生日 10月1日
血液型 A型
出身地 埼玉県






番組の内容
12月13日(土)「女性として生きたい・元男性のシンガー」

「性同一性障害」って名前くらいは聞いたことがあると思うけど、今ひとつ解らないでしょ。僕も自分の性に違和感を抱く人のことというくらいにしか理解できていないけど、簡単にいうと「脳」と「身体」の性の不一致ということなのか。

例えば身体的には「男」だけど自分では自分のことを「女」と理解していることだ。逆のケースも有り得る。さあ、彼らは社会でどう行動し、またどう受け止められているのか。勿論、周囲だって戸惑うだろう。

本人の気持ちを尊重したいと頭で分かっていてもすんなり受け入れられる自信ありますか?次回は「性同一性障害」のひとりを取材、その心情を聞いていきます。


静岡市内のライブバー。歌うのは、会津里花さんです。 会津さんは、もともと男に生まれ、これを貫こうとしました。 しかし、会津さんは、4年前、これまでの男性ではなく、女性として生きる決意をして、手術を受けました。

男と女の間で揺れ続けた心の内を、歌で伝えたいと、弾き語りのライブを始めました。このように、会津さんを含め、自分の性別に対する悩みを抱える人が今、声を上げ始めています。
今年6月、静岡市議会の総務委員会で会津さんが陳述を行いました。

性同一性障害を抱える人々が安心して暮らせる社会の実現を求める意見書を提出したのです。しかし、精一杯説明をしても、理解してもらうまで時間がかかると語ります。
「性同一性障害」とは、生まれながらの性に違和感を持つ人たちです。女性に生まれながら、自分を男性と意識する人、男性に生まれながら、たくましくなる自分の体に嫌悪感を持つ人など、様々です。

心と体のギャップに、深く悩む人々を「精神科医」が「障害」と判定します。

「精神医学」専門の医師、針間克己さんは次のように話します。
幼い頃から、自分が男であることを受け入れられなかった会津さん。中学、高校は男子校に入りました。

しかし、違和感は増すばかり。

大学時代はロックバンドに入り、女性とも付き合いましたが、悩みは解消されませんでした。
会津さんは、性同一性障害の人々への理解を広げようと市民団体を立ち上げました。第1回の定例会には、およそ50人が参加。切実な悩みが打ち明けられました。

その悩みに答えた人の中に虎井まさ衛さんがいました。虎井さんは、ドラマ「3年B組金八先生」に登場した、性同一性障害の生徒のモデルでした。

虎井さんは、性同一性障害に置かれた人々の立場の苦しさを話します。人間として普通の生活がしたい、それが願いなのです。
保守的と思われた静岡に、異変が起こりました。市議会が戸籍の性別変更を求めた会津さんの意見書を可決しました。

そのとき、会場にいた会津さんは、自分が生きることを認めてくれたと涙ながらに話しました。

さらに7月には、性同一性障害を抱える人々が、戸籍の性別を変えられる法案が国会を通過しました。
その後、市役所に住民票を請求に行った会津さん。しかし、住民票の性別の欄には「男」と記されていました。

実は、今回の性別変更の特例を定めた法律では、20歳以上であること、独身、子供がいないことなどが条件となっています。会津さんには、離婚暦があり、離れて暮らす子供がいたのでした。

住民票などに記載される「男」という文字は、会津さんにとって違和感であると共に、大変苦しい気持ちにさせます。
せめて性別欄を廃止して欲しい、と会津さんの願い。

その願いに応え、先月11月に行われた衆議院選挙の投票所入場券には、性別の欄がなくなり、数字が書かれていました。その数字、投票の集計などの理由から、性別を数字で表したものですが、会津さんは、「一目でわからないからよい」と話します。
普通の人々にとって、性同一性障害を理解するのは、大変難しいものがあります。しかし、それに苦しんで、模索して生きている人と会う、見ることで、私達の認識は変わっていくと会津さんは語ります。

無理に理解を求めるのではなく、その存在を感じさせるのが、会津さんの歌でもあるのです。

   【澤木キャスター今週の総括】
「性同一性障害」って知っていました?なんとなく聞いたことがあるような・・、という人が大部分ではないでしょうか。

自分の今の性(=男とか女とか)がどうも納得いかない、違和感を覚える状態のことをいうのだそうだ。

小さい頃からそういった部分で不快感を抱くというから、単なる性的な性向とは違う。問題は放送でも少し触れたが、周囲がどうやって付き合うかという点だ。専門家や当事者は「理解することは難しい」という。では無視するのか、ということになるがこれでは彼らを突き放してしまうだけで同じ生活者として差別的だ。まず存在を認めることだという。偏見を持たずに認める、言葉では簡単だが、なかなか時間のかかることだと思う。最初はすこしばかり違和感を覚えるかもしれないけど、僕だって他人から違和感を覚えられる存在なのだ。



   【中澤キャスターの一言】
私は性同一性障害については、前から興味がありました。それらしい人が昔の友人にいるからです。当時、その友人も悩んでいて、私がどうすることもできなかったことを覚えています。

今は会津さんのように、世間にカミングアウトしている人が増え、徐々に認識も高まってきてはいますが、数年前はまだまだ拒絶されるだけだったと思います。

私もある著書を読んでから、受け入れることに抵抗がなくなったのです。気持ちを理解するまではいきませんが、結局は同じ人間。いろいろな生き方があるのだから、優しく見守っていきたいものです。



   【取材記者の裏話】
「この青、あなたにはどのくらい、青く見えていますか?」。

この質問には、答えようがない。もしかしたら、ある人には、青がピンクに見えていたとしても、確かめようがない。男女の性別も、これに似たところがある。「私はいったいどのくらい、男なのだろう あなたは、どの程度女なのだろう」か。

やさしさや、たくましさなど、典型的と言われてきた男女の特質が今、崩壊しようとしている。男女平等、機会均等のなかで、男女の明確な線引きは、医療などの分野を除き、曖昧になりつつある。

性同一性障害のシンガー 会津里花さんは、4年前に、生まれながらの性別である「男」を捨てて、「女」として生きる決意をした。幼い頃から、自らの性別を受け入れられなかったという。「男」とは何かを考えているうちに、その重圧に耐えきれなくなったとも言った。こうなると、どちらが保守的なのかも、わからなくなる。

ドラマ「3年B組金八先生」で性同一性障害の生徒のモデルとなった虎井まさ衛さん。この人は、女から男になった。虎井さんは、「理解しようと思わないでほしい」と言った。無理に理解しようとしてできなければ、拒絶につながる。

多様化する権利から、社会を見直すと、意外な発見がある。公文書の性別欄の必要性などは、その一例だ。性同一性障害を抱える人々は、意味がないことを、とっくに知っていたのだ。

会津さんの歌は、心に響くものがある。「理解しようとしないで、感じて欲しい」という『彼女』。既成にとらわれない、新たな価値観の発見への風を、その歌は運んでいるのかもしれない。

取材:伊藤充宏




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