<時代の空気を伝えるジャーナリズム>

「アクセス!静岡・土曜スコープ」は2001年4月にスタートし、只今3年目に入っています。

月〜金のSBSテレビ夕刊では伝えきれない「ニュース」や「企画モノ」をもう一度時間をかけてじっくり伝えようとするSBSの報道特集です。静岡に関するニュース・出来事を詳しく紹介したり、ニュースをヒューマンドキュメンタリーにしたり斬新な切り口で特集を制作しています。

これまで放送してきたものには「静清合併までのドキュメント」「松菱自己破産の日・ドキュメント」「大道芸人の人生」「アフガン現地リポート」「大物中学生力士の挑戦」などがあり、政治・経済・話題・スポーツ…様々なジャンルにカメラが鋭く、時に優しく入り込んできました。放送は生。スタジオゲストに森田実さん(政治評論家)、松木安太郎さん(サッカー解説)、山本昌邦監督など第一線で活躍する方を招いて「今」を熱く語ることもしてきました。

今後も土曜スコープは「静岡の今」にこだわり、SBS報道班が総力をあげ時代を鋭く斬っていきます。みなさまの温かいご支援をお願い申し上げます。

土曜スコープ プロデューサー水鳥誠
 



毎週土曜日 18:00〜18:30

澤木久雄キャスター
誕生日 10月21日
血液型 A型
出身地 浜松市
中澤志月キャスター
誕生日 10月1日
血液型 A型
出身地 埼玉県






番組の内容
1月10日(土)「見せます!町の酒屋の底力・売り上げは」

去年9月に酒の販売をめぐる規制が緩和されて、異業種からも参入ができるようになった。規制緩和はなにも小泉改革だけの専売特許ではない。以前から日本経済を活性化するための効果的な手段だと言われてきたが、一方でこれが小規模零細店を廃業に追いやることにもなっている。今、「町の○○屋」さんという言い方で表現される個人店はどこも苦しい状態だ。それらの店は、営業努力を怠っている店を除けば、どこも生き残りをかけて大型店に対抗しているのにも拘わらず、やはり太刀打ちできないでズルズルと後退を強いられているのだ。

そんな中、ある酒屋さんの主人が決心した。一店でできないならネットワークで戦おうというのだ。酒屋さんの集まり「ぷちショップ」の活動を中心に町の酒屋さんの生き残りを賭けた戦いを追います。ご覧下さい。


昨年12月、熱海市に酒の小型ディスカウントショップがオープンしました。以前は、この店では酒を扱うコンビニでした。これまでは、町の酒屋さんが、酒を扱うコンビニエンスストアに変わるのが時代の主流でした。

店の売り場面積は、わずか20坪。しかし、「毎日が激安!」を謳い文句に客を集め、売上は2.5倍にアップしました。
店の名前は「ぷちショップ」。酒のディスカウントを展開する全国チェーンです。
このお店、熱海市の「ぷちショップ熱海来宮店」の店長は、加藤祐孝さん、祖父から続く酒屋の3代目、若旦那です。以前のコンビニから、なぜ変えようと思ったのでしょうか。1つには、熱海への観光客の減少から、酒の需要も減り、配達先の支払いが滞るなど、経営に響く自体が続いたこと、大手コンビニも増え、酒販売の自由化は目前に迫ってきたことがあります。

もう1つには、この「ぷちショップ」が今のままの店舗で、業態が変えられることにあります。コンビニエンスストアから変えようとしたとき、社長である父との間は大変だった、しかし、店をつぶすわけにもいかないと、色々大変な当時を若旦那は振り返ります。
さて、売上を大きくしたポイントはいくつかあります。

(1)小さい店舗をそのまま使うため、従業員も少なくてすみます。 人件費や店作りに経費をかけないため、ディスカウント価格が可能となりました。

(2)ばら買いする客を増やすよりも、客が1回に購入する額を上げることを重視します。 店では箱売りが基本となります。

(3)「ぷちショップ」本部と全国の酒屋同士をメールなどで結ぶネットワークがあることです。問屋との交渉方法、製品の価格情報など、全員が持っている情報を交換し合うことで、より売り上げることが可能となりました。
このようなディスカウントチェーン店に加盟する時、よく突き当たるのが地域の同業者との問題です。組合のしがらみも大きいのが現実です。

また、自分の店がこのようなチェーン店にして、利益を上げることで、地域の他の店をつぶしてしまうという問題点を指摘する人もいます。しかし、客が望むという視点から変えようとする人もいます。

このお店、今や売上はかつての10倍というが、当初はとことん経費削減する本部の提案に戸惑ったそうです。酒屋(現在ではコンビニの方がイメージしやすいでしょう)に必ずある製品を冷やしておく保冷庫がありますが、それを全部なくすということに、かなり驚いたそうです。
本部から開発担当者が様子を見にやってきました。

1日の売上は、以前の2.5倍にも伸びたというのに、店内を見て、開発担当者の顔が険しくなりました。

店舗の中にかなりの問題点があるようです。
ビールのケースの積み具合が低すぎるといいます。

そして、製品の各々の高さがバラバラとなっている並べ方にも指摘を受けました。店は再び振り出しに戻ったかのよう。

どうすればよいか、家族は混乱しました。
厳しい指摘を受けてから2週間が経ちました。店はどうなったのでしょうか。


まず、目に飛び込んでくるのは大きく書かれた値段。以前にはなかった演出で、激安をイメージさせます。

改善前

改善後

改善前
そしてボリューム感を出すために、平らにするよう指示されたコーナーは、フラットになり、確かに量感が増しました。

改善後
加藤さんは、いつも元気で前向きに仕事に励んでいます。しかし、決して1人の力ではないと改めて知るひとときがあります。

それは家族の存在です。
ピンチだからこそ、チャンスに変える!

酒屋のプライドを胸に加藤さんが選んだ挑戦は、これからも続きます。

   【澤木キャスター今週の総括】
町の酒屋さんの業態転換。酒販売の自由化で確かに競争は一層激しくなったけど、今の小売業はすっかり安売り合戦の状態になってしまった。番組内で河津町の酒屋さんが言っていたけど他の店より安く売ろうとすると少ない利幅を数で稼ぐ必要が出てくる。パイは限られているから普通の値段で売っている店は顧客を減らすことになって最後は一握りの勝ち組だけが残るという、まさにサバイバル戦となる運命だ。個店がそこそこの努力さえすればそこそこ儲かるような経営はもはや有り得ない状況になりつつあるのだ。

でもねホントこれでいいの?大きな不安を胸に治めながら番組を終えた。



   【中澤キャスターの一言】
新ぷちショップ本部の方の、購買意欲を誘う陳列の仕方にはとても感心しました。なるほど。確かに商品が大量にあるように見えれば迫力あるし、値札もパッと引きつけられるなら足も向く。とても工夫していますよね。商売なのだから当然のことですが、これに私はやられちゃっているのね〜、と納得です。

ただ、この先このようなディスカウントショップばかりが街を占めたら、VTRにも出てきたような酒屋さんはどうなってしまうのか…。消費者としては、やはり同じものを買うなら、より安く買いたいのは当たり前で、もちろん私もそうです。うーん…、どうなのでしょうか。

さて、今年も「土曜スコープ」がんばってまいります。
よろしくお願いします。



   【取材記者の裏話】
正直取材の前までは、少なからず悲観的な思いを抱いているのが酒屋を維持したり、継ごうとする世代の方のご意見だと思っていました。このご時世の中、酒屋単独の専門店として生き残る事の難しさを感じていたからです。

しかし、今回の取材を通して出会ったのは、笑顔と前向きさを絶やさない町の酒屋さんでした。
「ぷちショップ」という町の小さな酒屋が集まり、おのおのは小型ディスカウント店として大型量販店に対抗していこうというスタイルを取っていました。ただそこには安さだけではなく、お酒の選び方や飲み方などお客さんに対面でアドバイスしていくという従来の酒屋さんの暖かみがありました。

まあ、逆にそれがあるからこそぷちショップに加盟する皆さんも、酒屋としてのプライドを持ち続けていけるのだと思います。きっと登場していただいた熱海市の加藤さんもこれまでのコンビニ業務時代には味わえなかったひととの繋がりをまた新たに感じているのかもしれません。

最後に、漠然とはしていますが、ピンチをチャンスにかえるという精神はいつでも持っていたいなと感じました。どんな形であれ、自分が変わっていくという勇気と努力を欠かさないことの大切さを私自身学んだ気がします。

取材:伊ヶ崎 恵美




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