<時代の空気を伝えるジャーナリズム>

「アクセス!静岡・土曜スコープ」は2001年4月にスタートし、只今3年目に入っています。

月〜金のSBSテレビ夕刊では伝えきれない「ニュース」や「企画モノ」をもう一度時間をかけてじっくり伝えようとするSBSの報道特集です。静岡に関するニュース・出来事を詳しく紹介したり、ニュースをヒューマンドキュメンタリーにしたり斬新な切り口で特集を制作しています。

これまで放送してきたものには「静清合併までのドキュメント」「松菱自己破産の日・ドキュメント」「大道芸人の人生」「アフガン現地リポート」「大物中学生力士の挑戦」などがあり、政治・経済・話題・スポーツ…様々なジャンルにカメラが鋭く、時に優しく入り込んできました。放送は生。スタジオゲストに森田実さん(政治評論家)、松木安太郎さん(サッカー解説)、山本昌邦監督など第一線で活躍する方を招いて「今」を熱く語ることもしてきました。

今後も土曜スコープは「静岡の今」にこだわり、SBS報道班が総力をあげ時代を鋭く斬っていきます。みなさまの温かいご支援をお願い申し上げます。

土曜スコープ プロデューサー水鳥誠
 



毎週土曜日 18:00〜18:30

澤木久雄キャスター
誕生日 10月21日
血液型 A型
出身地 浜松市
中澤志月キャスター
誕生日 10月1日
血液型 A型
出身地 埼玉県






番組の内容
1月17日(土)「”安売り”家電業界カリスマ社長奮戦記」

次回は、酒屋さんに代わって家電屋さんの特集だ。流通・小売業界の競争は年々熾烈を極める状況にあるが、今度は県内最大級の家電センターを誕生させた社長にスポットを当てる。その人は22歳で独立をした根っからの家電商売屋さんだ。激化する一方のこの業界でどう生き残るか、社長の戦略や考えをぜひとも聞いてみたいところだ。今週の酒屋さんの話と併せてみると一層日本流通業界の持つ光と陰が見えてくるはずだ。


富士市から沼津市にかけての国道1号線の一帯には、大型の家電量販店が相次いで出店をし、家電業界の激戦地となっています。

おととしの秋には、大手として沼津市内にいち早く店を置いたコジマが、1ヶ月半前には、富士市の一等地に出店したヤマダ電機が、そして、両大手に挟まれるような位置に、100満ボルト富士本店がオープンしました。オープンしたのは、ヤマダ電機の開店1週間前でした。
元は地元の電気店だったこの店は、100満ボルトグループに参加し、地域最大級の規模となって生まれ変わりました。

地域ナンバーワンを目指し、店を引っ張っているのは、この道40年の石川征雄社長です。

地元一筋40年。築いた実績・信頼、全てを挙げて生き残りを図ります。
100満ボルト富士本店。

5000平方メートルを超す売り場には、2万5000点の商品が並びます。この豊富な品数に加え、知識豊かな販売スタッフが店の自慢です。

店内の商品にある値札を見ると、そこには値段を何度も書き換えた跡が目立ちます。他店のチラシや店頭価格に常に注意をはらい、他店よりも高かったら、値段を変えるのです。

社長は、

「店がきれいで、大きくても高ければ、店は一生浮かばれることはない。常に油断大敵」

と語ります。
大手に決してつぶされないぞ、と意気込む石川社長。最近毎日のように通っているところがあるといいます。その場所につくと、石川社長は胸と背中に大きな看板を身につけました。さらに、一輪車を押して向かった先は…。

何とライバル店の真ん前でした。ライバル店のオープン翌日から、ホウキで掃除したり花に水をやったりするのを日課としました。
石川社長の商売は昭和39年、22歳の時にわずか2坪の個人商店からスタートしました。最初は電話も置けないような状態だった店が、たった4年後に法人化し、三石電化センターとなりました。

創業以来、ずっと堅実で、1度も赤字を出さなかったことが自慢です。店はみるみる大きくなり、県内5店に増えました。
順調な経営の傍らで、石川社長がずっと続けていることがあります。店の前や街角を花で飾る美化活動です。

社長は、毎年植えるチューリップに売上アップの願いを込めています。これまで、2000個を植えた時に、20億円、5000個の時には50億円の売上がありました。

今年は富士の店をオープンさせたこともあり、1万個で100億円を目指したいと語ります。
自分の商売の目に地震を持つ石川社長。実は10年前、突然他社の傘下に入る道を選んで、そこでも周囲を驚かせています。その理由には、業界再編の動きが盛んで、生き残りを図るのが大変というのがあります。

価格競争の激化を予測し、10年前にはケーズデンキ、4年前には100満ボルトの傘下に入りました。生き残りを図るには当時、これが最善の策だったそうです。

お客さんの喜びが「良いものを安く」であるならば、自店のままでは競争に勝てない、と社長は語ります。グループの元で、商品を安く仕入れることが必要だったのです。
社長は毎朝一番に出社し、店の前を掃除する。地域に愛されるため、石川社長は創業以来習慣としています。これが商売の基本と信じ、その精神を従業員に伝えます。

営業中は、毎日店内の様子に目を配ります。やるべきことがなわれているか、従業員に商売の厳しさを叩き込みます。
客をじっと待つばかりが商売ではありません。店を飛び出し、訪問販売に出かけます。スイッチの調整や、照明の取り付けなどの、手際の良さを見せながらも、部下に新製品の紹介をぬかりなくさせます。

石川社長が40年で築いてきたものは大きいです。エアコンの修理をしに来たのだが、いつの間にやら買い換えの商談が成立してしまうことも。

何とも押しが強い気がするが、客は嫌な顔一つ見せていません。
地域ナンバーワンを目指す社長の奮闘は、御殿場の大型店舗のオープンへと続きます。


拡大していく中でも社長は、あいさつと掃除の基本を忘れずにやっていきます。

   【澤木キャスター今週の総括】
先週は「酒業界」で今回が「家電業界」。どちらも大手対個人店、あるいは大手同士による戦いという構図になる。いずれにしても小売業は今大きな転機を迎えていることは紛れもない事実で、規模はより大きく、売上げはより多くという戦いと化している。

今回登場した社長もかつては一軒の電気やさんだった。それがライバルが価格競争を激化させるにつれて自分も負けられないとグループ化していったのだ。個人で店を続けることは本当に至難の技となってしまった。ここに日本の流通・小売の現実と課題が横たわる。だが、この社長は地元で生きて行く上で大事なものがあると説く。それは地元のお客さんに信頼されることに尽きるというのだ。その点で社長は営業のトップでもある。毎日、外回りをすることで顔の見える営業をしているわけだ。

個人店がこれから何ができるのか、そして残された可能性があるとすれば何か、僕は多分に悲観的ではあるがそっと見守らせてもらう他ない。



   【中澤キャスターの一言】
町の電気屋さん。そういえば、最近使わなくなりました。気がつけば、広告であっちが安い、こっちが安いと家電量販店へ足を運んでいる。選ぶ基準は、ズバリ価格。

でも、今日の「100満ボルト」は違いました。もちろん価格でも勝負はしていますが、それだけではないのです。それは、地域との信頼関係や社員に対する愛情かな。一見パフォーマンスに見える美化活動も、やはり元「町の電気屋さん」ならではですよね。

国道沿いは比較的、大型店の激戦地となるケースが多いですが、今後この「100満ボルト富士本店」を気にしてみたいなと思いました。



   【取材記者の裏話】
石川征雄社長。皆さんの目にはどう映ったでしょうか。派手な看板姿の格好が印象に残っていますか?

実は私が伝えたかったのは、その行動をさせた石川氏の人間性でした。町の家電屋さん。順調な商売で店は大きくなりました。しかし社長の言動は創業当時のまま。掃除、挨拶、町の美化。何も変えていない。

「店は町とともにある」

石川氏は創業当時、地域の信頼を掴むためにどうしたらいいのか考えた。結果、姿勢や言動など、自分の身の丈のほどを知ってもらうのが一番だと考えた。以来40年、その信念を一切曲げていない。

「何事も継続」

石川氏は、店の前の掃除をしながらそう語った。重みを感じた。早朝、人通りはまだほとんどない。世間の評価目的では40年は続かない。それが出来る石川氏。あなたはそんな石川氏から何を感じますか?

高額の商品がたくさんある家電。良いものを安く。価格競争はまだまだ続くだろう。ここでちょっと仮定の話。もし同じ商品、値段が同じ状況なら、あなたは何を決め手に買うお店を選びますか?

付加価値。価格競争が激化し行き過ぎた今後、何が商売を支えるのか。複雑で難しい社会の中だが、意外に答えはシンプルなのかもしれない。要はそれが出来るか出来ないか。石川氏の姿を目の当たりにした私はそう考えた。

取材:栗原広樹




バックナンバー




番組に対するお問い合わせ、ご意見・ご感想は
下記までお寄せください。

ハガキ:〒422-8680 (住所不要)
    SBS「土曜スコープ」係

E-Mail:scope@digisbs.com
TEL:054-284-8950
FAX:054-284-9006