<時代の空気を伝えるジャーナリズム>

「アクセス!静岡・土曜スコープ」は2001年4月にスタートし、只今3年目に入っています。

月〜金のSBSテレビ夕刊では伝えきれない「ニュース」や「企画モノ」をもう一度時間をかけてじっくり伝えようとするSBSの報道特集です。静岡に関するニュース・出来事を詳しく紹介したり、ニュースをヒューマンドキュメンタリーにしたり斬新な切り口で特集を制作しています。

これまで放送してきたものには「静清合併までのドキュメント」「松菱自己破産の日・ドキュメント」「大道芸人の人生」「アフガン現地リポート」「大物中学生力士の挑戦」などがあり、政治・経済・話題・スポーツ…様々なジャンルにカメラが鋭く、時に優しく入り込んできました。放送は生。スタジオゲストに森田実さん(政治評論家)、松木安太郎さん(サッカー解説)、山本昌邦監督など第一線で活躍する方を招いて「今」を熱く語ることもしてきました。

今後も土曜スコープは「静岡の今」にこだわり、SBS報道班が総力をあげ時代を鋭く斬っていきます。みなさまの温かいご支援をお願い申し上げます。

土曜スコープ プロデューサー水鳥誠
 



毎週土曜日 18:00〜18:30

澤木久雄キャスター
誕生日 10月21日
血液型 A型
出身地 浜松市
中澤志月キャスター
誕生日 10月1日
血液型 A型
出身地 埼玉県






番組の内容
1月31日(土)「中国残留孤児のいま」

次回は県内の中国残留孤児たちの素顔を追う。「中国残留孤児」と聞いて自分には無関係のことだと思った方もいるだろう。
しかし県内に住む彼らは今、辛い思いを抱えながら結束しようとしているのだ。国に対して裁判を起したのだ。政府に対して謝罪と老後の保証を求めた戦いを始めたのだ。彼らの生活は生活保護を受けるほど貧しい。身寄りも少なく、毎日の生活にも苦労する中でなにを拠り所にしていけばいいのか。あなたもこうした彼らの心境に一度思いを廻らせて下さい。先に放送した「毒ガス弾」同様にまだ戦争の傷が完全に癒えていないことを恐らく自覚するはずです。


1980年代。
中国残留孤児の訪日調査がスタートしました。

数十年ぶりに、肉親との対面を果たした孤児たちの明るい表情は、わたしたちにとって、記憶に残ったものに違いないでしょう。
あれから20年以上が経ちました。

帰国を果たした彼らは厳しい現実にされされていました。
働くこともままならず、生活保護に頼る暮らし。

国民年金が極端に少なく、月に7000円の孤児もいました。せっかく日本に帰っても、政府は冷たかったのです。
去年9月、東海地区の残留孤児141人が集団で国を訴えました。政府からの謝罪と、老後の生活保障を求めています。

会見の中で、原告の1人である孤児は

「中国では、日本の鬼の子と言われ、祖国日本に来たら、中国人と言われ、みんな、辛い人生を送ってきました。」

と涙ながらに語りました。
ここで、「残留孤児」をおさらいしましょう。

戦時中、国は開拓移民27万人を、中国北部の満州に送り、次々と日本人の村を作っていきました。しかし、1945年8月、ソ連軍が参戦の時から終戦の時(15日)を経て、開拓団は一転して、どん底に突き落とされました。

ソ連軍や中国人の襲撃が相次ぎ、略奪と虐殺が繰り返されました。必死に逃げ惑ううち、親兄弟と生き別れたのが残留孤児です。彼らは、その後中国人の家で育てられました。
日本と中国は断絶の関係にありましたが、国交が1972年、当時の田中角栄総理のもと、正常化されました。
この時、残留孤児にも「帰国への光」が見えたかに思えました。
しかし、なかなか政府は動かず、9年かかってようやく調査が始まったのです。
行政側は、残留孤児の実態を把握しているのでしょうか?

県健康福祉部に話を伺ったところ、

「厚生労働省で中国帰国者の生活実態調査を実施しているので、特に、あえて県で調査を実施する必要もない」

と答えています。
8年前、静岡市に永住帰国した宮田睦子さんは、市営団地に中国人の夫と2人で暮らしています。

月11万円の生活保護だけが頼りです。お金の入る直前には、食料も底をつくといいます。2人は、体が悪く働けないため、賃金の収入がありません。

しかし、これはまれなケースではなく、全国の残留孤児のうち、既に7割が生活保護を受けています。
実は、帰国した人を支援する法律があります。

帰国した残留孤児に対して、国では、3年間の自立支援を行っています。しかし、高齢化が進み、自立できない孤児が増え、新たな支援策が必要とされています。

具体的な策について、県では「国の施策の中で、実施されるべき」と話します。
提訴から3ヶ月後の去年12月18日。いよいよ初弁論の日がやってきました。

名古屋地方裁判所で行われた、第1回口頭弁論で、2人の原告代表が自分の境遇を精一杯訴えました。傍聴席では涙を拭う姿がありました。そして、陳述が終わった瞬間、静粛な法廷に拍手が響きました。

しかし、この日国側は、全面的に争う姿勢を示しました。
その上で、現在事実関係を調査中だとして本格的な話し合いは次回以降に持ち越されました。
年が明けて、名古屋の弁護士が静岡を訪れました。

孤児の生い立ちや、生活状況を調査して、裁判の陳述書を作るためです。こうした地道な対面調査は、原告141人全員に実施されます。

高齢化した残留孤児たちの不安。その多くは、「年金問題」です。出る年金は、本当にわずか。

生活保護に頼らなければ生きていくことはできません。
さらに、孤児の中でも年金支給額に差があるのです。

その原因は、日本国籍の取得によって決められているからです。今回の場合、窓口は国の法務局。

自治体レベルでは話を受け付けてはくれません。
帰国した孤児たちが直面した、厳しい現実。

その原因を作った政府に対する憤りが、今「国家賠償訴訟」という形になったのです。

「残留孤児を生み出したことについて国に責任があるんだということを明確に意識した上での施策をして欲しい」と弁護士は語ります。

孤児も、「政府は私たちと話をしてほしい。」「同年代の人と同じような日本人の生活をすれば、それだけでもういいと思っている。」と話します。

   【澤木キャスター今週の総括】
第二次大戦末期、1945年の8月、ソ連軍参戦以降の旧満州にいた日本人の逃避行は何人かの方が手記にまとめているがそれは悲惨を通り越して「地獄絵」を見る思いだったと誰もがいう。死者の数は日ソ戦だけで6万人ともいわれる。

そうした境遇の下で家族と別れ、中国人に引き取られた日本人が戦後長い期間を経て故郷の土を踏んだ。彼らが中国残留孤児と言われる人たちだ。だが永住帰国したもののいかに生活が苦しいか。今日の放送でその一端が解って頂けたら嬉しいのだが。彼らもプライドがある、多くを語りたがらないだろう。

だがそれにしても厳しい現実がある。声を出さなければ現状を理解してもらえないのではあまりにひどすぎないか。
イラクの復興を支援するのも大切なら、こうした孤児たちの自立を支援するのもまた大切な国家の役目なはずだが・・。



   【中澤キャスターの一言】
やはり戦争の代償は大きいのだな、と改めて感じました。確かに教科書で「中国残留孤児」のことは習ったし、報道で「○年振りの再会」と大きくニュースになっていたのも覚えています。

でも、日本に帰国を果たしてからの生活についてはほとんど知らない人が多いのではないでしょうか?現実はあのように苦しい生活を強いられているのですね。ちっぽけな私が力になれることは少ないですが、きちんとこの現状を伝えていかないといけないなと思いました。

ところで、またまた髪型を変えてみました!およそ2ヶ月ぶりに美容院に行き、既に飽きを感じていた状態から少し雰囲気も変わるように要望してみましたがいかがでしょうか。丸顔がさらに丸く見えるかなぁ。長さはほとんど変えずに、横をかなり梳いているんです。

今はカーラーで巻いてふんわりさせていますが、そのうちブローするだけのすっきりスタイルにしてみようかなとも思っています。この髪型もいつまでキープしようかしら…?

先週まで

今週から



   【取材記者の裏話】
実は、前々から知りたいと思っていました。それが今回、裁判を起こす動きがあると知り「帰国後の彼らが、これまでどうやって過ごしてきたのか?」そして「今、何を思っているのか?」ますます知りたくなり、取材を始めました。

実際に、残留孤児の人達に会ってみると、日本語が分からないという方がとても多く、社会に馴染めないでいる事が伺われました。しかも、ほとんどの人が60歳以上で、仕事が出来なくなっていました。収入がない生活の中、年金は僅かに数千円〜2万円余り。

この状況に対し、国や県からの支援はありません。というのも、帰国者支援法に規定された支援が、帰国後3年間に限られているからです。結局は、生活保護以外に頼る術がないというのが現状です。人付き合いも少なく、寂しい彼らの生活を目の当たりにすると、かつて帰国の時には、記者会見に臨み、カメラのフラッシュの中で幸せそうだった事が嘘のようです。

そして昨年9月、名古屋地方裁判所に起こされた「国家賠償訴訟」。国からの謝罪と損害賠償を求めています。なぜ、国を相手に争うのか?それは、自分たちの恵まれない境遇が、すべて国の戦争によって引き起こされたものだから、ということです。静岡の原告は現在16人。この春には、さらに増える見込みです。

この訴訟の動きは全国的なもので、永住帰国した2500人程の残留孤児のうち、6割近い1250人が既に原告となっています。裁判に立ち上がった残留孤児は、自分たちが「日本人であることを認めて欲しい」と主張します。そして、実際に取材した県内の原告の方達も「同年代の日本人と同じ、人並みの生活がしたいだけなんだ」と話してくれました。

そんな願いを込めて始まった、裁判の今後に注目したいと思います。

取材:笠井千晶




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