静岡の象徴であり、日本の象徴でもある富士山。しかし、富士山は「活火山」でもあります。
「もし、富士山が噴火したら」
タブー視されてきたとも言えるこの問題が、今、クローズアップされています。
この画像は、沼津市原の東海道筋に江戸時代から住んでいるお宅にあった絵図です。今からおよそ300年前の1707年に噴火した「宝永噴火」を描写しています。吹きあがった噴煙や、吹き出す火柱が見てとれます。 |
 |
 |
16日間で噴火活動は収まりました。
絵図には、ぽっかりと「宝永火口」ができています。 |
そして、この火口は現在も見ることができます。
絵図があったお宅から見た富士山に、同じ火口があるのです。 |
 |
 |
去年9月、富士山腹で噴気が見つかりました。現場は、山梨県側の標高1700メートルの林道斜面。付近では、14ヶ所の陥没も確認されました。
外気の温度が下がる12月になっても、噴気は35度前後を保ちました。これは、富士山の直下に、高温の熱水が含まれているとみられています。マグマの活動の中で、この熱水が更に地下水を温めて、噴気となった可能性があります。
現在までの調査では、火山活動とは直接結びつかないとの見方が有力です。しかし、富士山は活火山。いつ、こうした現象が起きても不思議ではないと、多くの専門家が指摘します。 |
2000年の秋。
富士山の異常なデータに、研究者は色めき立ちました。富士山の真下で、低周波地震が急増し始めたのです。
場所は、富士山頂の北東部に集中しています。
低周波地震は、9月から増え始め、11月には221回を記録しました。 |
 |
 |
この低周波地震は、マグマの活動が影響しているとみられます。うごめくマグマが、岩盤を押し広げることよって起きるとの説です。
しかし、2001年春には、ぴたりと収まりました。 |
では、いったい地下では、どんな活動が起きているのでしょうか。
低周波地震の多発をきっかけに、地震計が増設されました。現在、防災科学技術研究所、東京大学、気象庁合わせて16ヶ所に上ります。データは電話回線などで24時間配信されます。果たして、噴火は予測できるのでしょうか。
防災科学技術研究所・火山プロジェクトディレクター 鵜川元雄さんは、「現在、富士山の下のマグマだまりの状態が、噴火まで7割なのか、8割なのか、あるいは3割ぐらいなのか、今の火山学の知識では、分からない。ただ、噴火につながるような、マグマの上昇があると、今の観測網で検知できると思っている」と話します。 |
 |
 |
ここで、富士山の歴史をひも解いてみましょう。噴火は、東海・関東の大地震と、連動していることがうかがえます。
宝永(ほうえい)噴火は、「関東地震」に続いて起きた「東海地震」のわずか49日後に起きたのです。なんとも不気味です。 |
国の方でも、活火山としての富士山を正確に知り、防災に役立てようとする動きが活発になってきました。
住宅地への溶岩の到達時間を想定して色分けし、避難計画を立てようというのです。 |
 |
 |
その動きは地域にも。御殿場市は防災科学研究所と共に、溶岩流出のシミレーションを作成した。
1100度で吹き出した溶岩は、11日目に御殿場市の中心部や東名高速道路に到達します。
ちなみに、画像は98時間後を示しています。 |
御殿場市は、去年暮れ、富士山の噴火を想定した初めての防災訓練を行いました。
この訓練を、宝永噴火をもとにしたシナリオと重ねあわせてみました。
20XX年12月。富士山中で感じる地震活動が活発化しました。富士山周辺の自治体は、東京で緊急の会議を開いて、情報を収集し、対応を検討します。 |
 |
 |
12月15日の夜。
富士山麓で有感地震が活発化します。山腹の傾斜にも変化が現れ始めました。
16日未明、地震はマグニチュード5程度に強まります。
御殿場市は、警察や自衛隊と共に、災害対策本部を立ち上げ、「臨時火山情報」を出して、住民に注意を呼びかけるとともに、ハザードマップに従って、避難計画が検討されます。 |
16日、午前9時半。噴火が始まりました。
災害対策本部は住民の避難を決断し、同報無線を聞いた住民は、近くの公民館に避難します。火山灰を防ぐため、マスクにゴーグルを着用します。 |
 |
 |
溶岩が流出しました。住民が避難する公民館にも達する危険性が出てきました。
住民は用意された自衛隊車両に乗り込んで、安全な地区へと更に避難します。地域には、高齢者も多いです。早め早めの対応が肝心です。 |
富士山ハザードマップ検討委員会の荒牧重雄委員長は、
「富士山の噴火を見た人は誰もいない。従って、知識が低い。(噴火という)不意打ちに対して、出来る限りのことを用意しておく必要がある」
と話します。 |
 |