<時代の空気を伝えるジャーナリズム>

「アクセス!静岡・土曜スコープ」は2001年4月にスタートし、只今3年目に入っています。

月〜金のSBSテレビ夕刊では伝えきれない「ニュース」や「企画モノ」をもう一度時間をかけてじっくり伝えようとするSBSの報道特集です。静岡に関するニュース・出来事を詳しく紹介したり、ニュースをヒューマンドキュメンタリーにしたり斬新な切り口で特集を制作しています。

これまで放送してきたものには「静清合併までのドキュメント」「松菱自己破産の日・ドキュメント」「大道芸人の人生」「アフガン現地リポート」「大物中学生力士の挑戦」などがあり、政治・経済・話題・スポーツ…様々なジャンルにカメラが鋭く、時に優しく入り込んできました。放送は生。スタジオゲストに森田実さん(政治評論家)、松木安太郎さん(サッカー解説)、山本昌邦監督など第一線で活躍する方を招いて「今」を熱く語ることもしてきました。

今後も土曜スコープは「静岡の今」にこだわり、SBS報道班が総力をあげ時代を鋭く斬っていきます。みなさまの温かいご支援をお願い申し上げます。

土曜スコープ プロデューサー水鳥誠
 



毎週土曜日 18:00〜18:30

澤木久雄キャスター
誕生日 10月21日
血液型 A型
出身地 浜松市
中澤志月キャスター
誕生日 10月1日
血液型 A型
出身地 埼玉県






番組の内容
2月28日(土)「静岡をがれきの山にするな!稲むらの火」

次回は地震の恐さを人形劇を通じて伝えたいと立ち上がった県内の有志を取上げる。劇の題材は小泉八雲原作の「稲むらの火」。1854年の安政の大地震の際に、高台から津波の兆候を見つけた庄屋・五兵衛が稲のわらに火をつけて村人を救ったというものだ。

既に県内各地で公演が始まった。みんなどんな受け止め方をしたのだろうか、興味深い。人形劇で防災意識を高める苦労はどんなものか。劇団員の頑張りにぜひ注目して欲しいところだ。


東海地震はすぐそこまで迫っていると言われています。もし地震が起こった時、揺れの恐怖もありますが、それと共に恐れられているもの1つに、津波があります。わずか数分後に、最大で高さは10mとなる波がやってくるといわれています。そのスピードは陸上の短距離選手なみ。海岸で津波を見たら、もう逃げることはできません。

人形劇「稲むらの火」です。150年前に起きた「安政の大地震」で、小さな農村を襲った津波の物語。地震や津波の怖さと命の大切さを訴えます。
「稲むらの火」は、昭和12年から22年まで、小学5年生の国語の教科書に掲載され、防災教育の不朽の名作と呼ばれました。
物語の舞台は、和歌山県広川(ひろがわ)町です。

穏やかな海に囲まれた港町です。
商人の浜口梧陵(はまぐち ごりょう)は、安政の大地震による津波から、多くの村人の命を救いました。
150年経った今、梧陵の活躍を伝える人形劇が静岡で生まれました。発案は、児島正さんです。

児島さんは、平成7年、兵庫県を襲った阪神・淡路大震災の被災者でもあります。震災後、被災した子供たちの心を人形劇で癒すボランティアに参加した児島さん。

地震の脅威と命を大切さを伝えたい。この活動が、人形劇「稲むらの火」を立ち上げるきっかけとなりました。
児島さんの呼びかけに答え、県内13の人形劇団から16人の有志が集まりました。劇団の枠を超えた新しい人形劇プロジェクト。去年6月、稽古が始まりました。

稽古開始から7カ月後の1月下旬、静岡市にある県地震防災センターで初公演が行われました。2日間の公演で集まったお客さんは合わせて400人です。では、その劇のあらすじを紹介しましょう。

設定は秋。海岸沿いにある村で、秋の収穫を祝う祭りの時。村は準備で大忙しです。子供たちはもちろん、村にいる犬、シロまで、明日の祭りが楽しみでし方がありません。
その時、突然、不気味な地震が村を襲います。

高台に住む五兵衛(ごへえ)は、高台から見た海の異様に気づき、村人に注意を呼びかけます。しかし、下にいる村人は誰一人気がつきません。
そこで、五兵衛は村人に津波の襲来を知らせるため、刈り取ったばかりの大切な稲に火を放つのです。
火事に気がついた村人たちは、一斉に高台を目指します。
村人たちが高台に上ったあと、津波が到来します。
犬のシロは、津波に立ち向かっていくのです。
初めての公演を終えて団員の人たちは、とにかく演じるのに手一杯だったと語りました。

客の反応は上々。津波の恐ろしさがわかったと話す子供も多くいました。
彼らの次の挑戦は、県内各地の学校や、市民ホールをまわる巡回公演です。最初の依頼は、なんと、目の不自由な子供たちが通う盲学校からでした。

目の見えない子供たちに人形劇を見せるには…。大きな課題を抱えたまま、代表の宇佐美さんが盲学校のうち合わせに訪れました。

打ち合わせでは、学校側からお願いがありました。

ひとつは、子供たちは、声が来る方向で、場所などを捉えることから、定点スピーカー音が出るため、マイクは使わないで欲しいということ。

もうひとつは、劇のあと、舞台や人形を触らせてほしいということでした。
人形劇でどうしたら、気持ちを伝えることができるのか。団員の人たちが悩みつづけました。

それには、声の出し方やセリフに工夫が必要なようです。例えば、声をはっきり前に出すことで、気持ちがはっきり伝わったり、人形の動作も言葉で説明するなどです。
そして、本番。公演中は、子供たちが笑う表情が見られ、劇をわかってもらっているようでした。

そして公演が終わり、子供たちは、人形やセットに触れて、劇のイメージを膨らませました。

「津波の怖さがわかった。」
「シロがかわいそうだった。」
「普段の助け合いが必要だと思った。」

彼らの感想が、公演の成功を物語っています。
団員の人たちは、

「巡回公演への手応えと共に、伝えていかなくてはいけない使命感を得た。これからも続けていきたい。」

と語りました。

劇団の枠を超えた新しいプロジェクトは着実にその歩みを進めています。

   【澤木キャスター今週の総括】
津波は恐いといってもほとんどの人は実感が湧かないのではと思う。地震が起きてもすぐには津波が押し寄せることはあるまいと大抵の人は思っている。かくいう自分もその本当の恐さは判っていない。人形劇という視覚に訴えることで地震や津波の恐さを知ってもらう、これは大事なことだ。

舞台劇とは本来観た人に感動を与えるものなのだが、こればかりは感動してばかりはいられない。勿論内面に伝わるものでなくてはならないが、これは避難という行動を起すための手段でなくてはならない。発災後、海の傍にいた人は反射的に高い場所へ逃げることをこの劇から学ばなければいけない。とりわけ今回、対象になった子供たちにはぜひいざという時にこの劇のことを思い出して冷静に行動してもらいたいものだ。

それにしても役者さんも大変だ。人形の振り付けから台詞まで一人でこなさなければいけないのだから。どうしても彼らの発声に意識が向いてしまった感があるけど、みなさんの熱意には尊敬するなあ。このプロジェクトで次にまた何かやってもらいたいな。



   【中澤キャスターの一言】
人形劇を見たのは久し振りでした。

内容は子供向けというわけではなかったので、惹きつけられました。自然災害の恐ろしさを、ああいう風に伝えることもできるんだなと勉強になりました。私も小さい頃に見た人形劇やお芝居は今でもよく憶えています。今回見た人形劇もきっと子どもたちの記憶にもはっきりと残ることでしょう。

盲学校の生徒達もそれぞれの解釈があって、きちんと伝わったはずです。巡回公演は始まったばかりですが、ぜひ続けていって欲しいなと思いました。



   【取材記者の裏話】
取材を始めたのは、昨年9月でした。稽古が始まったばかりの頃で、舞台装置はまだありませんでした。しかし、メンバーの意気込みは十分でした。

1月下旬の「県地震防災センター」での2回公演、2月の沼津盲学校、三島市と、すでに合計4回の公演が行われました。公演へ向けての練習を合わせると、私は15回ぐらい、人形劇「稲むらの火」を見たことになります。しかし、何回見ても飽きません。興味深い内容になっています。

来年で阪神・淡路大震災から丸10年をむかえます。日本だけでなく、世界中から沢山の人々があつまる来年1月。「稲むらの火」は、神戸での公演を計画しているそうです。

地震が起きたら、すぐに海岸から離れる。住宅の耐震化や家具の固定。非常持ち出し品の準備。あなたの防災対策は万全ですか?東海地震はすぐそこまで近づいています。
取材:岩崎 大輔




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