東海地震はすぐそこまで迫っていると言われています。もし地震が起こった時、揺れの恐怖もありますが、それと共に恐れられているもの1つに、津波があります。わずか数分後に、最大で高さは10mとなる波がやってくるといわれています。そのスピードは陸上の短距離選手なみ。海岸で津波を見たら、もう逃げることはできません。
人形劇「稲むらの火」です。150年前に起きた「安政の大地震」で、小さな農村を襲った津波の物語。地震や津波の怖さと命の大切さを訴えます。 |
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「稲むらの火」は、昭和12年から22年まで、小学5年生の国語の教科書に掲載され、防災教育の不朽の名作と呼ばれました。 |
物語の舞台は、和歌山県広川(ひろがわ)町です。
穏やかな海に囲まれた港町です。 |
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商人の浜口梧陵(はまぐち ごりょう)は、安政の大地震による津波から、多くの村人の命を救いました。 |
150年経った今、梧陵の活躍を伝える人形劇が静岡で生まれました。発案は、児島正さんです。
児島さんは、平成7年、兵庫県を襲った阪神・淡路大震災の被災者でもあります。震災後、被災した子供たちの心を人形劇で癒すボランティアに参加した児島さん。
地震の脅威と命を大切さを伝えたい。この活動が、人形劇「稲むらの火」を立ち上げるきっかけとなりました。 |
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児島さんの呼びかけに答え、県内13の人形劇団から16人の有志が集まりました。劇団の枠を超えた新しい人形劇プロジェクト。去年6月、稽古が始まりました。
稽古開始から7カ月後の1月下旬、静岡市にある県地震防災センターで初公演が行われました。2日間の公演で集まったお客さんは合わせて400人です。では、その劇のあらすじを紹介しましょう。
設定は秋。海岸沿いにある村で、秋の収穫を祝う祭りの時。村は準備で大忙しです。子供たちはもちろん、村にいる犬、シロまで、明日の祭りが楽しみでし方がありません。 |
その時、突然、不気味な地震が村を襲います。
高台に住む五兵衛(ごへえ)は、高台から見た海の異様に気づき、村人に注意を呼びかけます。しかし、下にいる村人は誰一人気がつきません。 |
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そこで、五兵衛は村人に津波の襲来を知らせるため、刈り取ったばかりの大切な稲に火を放つのです。 |
| 火事に気がついた村人たちは、一斉に高台を目指します。 |
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| 村人たちが高台に上ったあと、津波が到来します。 |
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犬のシロは、津波に立ち向かっていくのです。
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初めての公演を終えて団員の人たちは、とにかく演じるのに手一杯だったと語りました。
客の反応は上々。津波の恐ろしさがわかったと話す子供も多くいました。 |
彼らの次の挑戦は、県内各地の学校や、市民ホールをまわる巡回公演です。最初の依頼は、なんと、目の不自由な子供たちが通う盲学校からでした。
目の見えない子供たちに人形劇を見せるには…。大きな課題を抱えたまま、代表の宇佐美さんが盲学校のうち合わせに訪れました。
打ち合わせでは、学校側からお願いがありました。
ひとつは、子供たちは、声が来る方向で、場所などを捉えることから、定点スピーカー音が出るため、マイクは使わないで欲しいということ。
もうひとつは、劇のあと、舞台や人形を触らせてほしいということでした。 |
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人形劇でどうしたら、気持ちを伝えることができるのか。団員の人たちが悩みつづけました。
それには、声の出し方やセリフに工夫が必要なようです。例えば、声をはっきり前に出すことで、気持ちがはっきり伝わったり、人形の動作も言葉で説明するなどです。 |
そして、本番。公演中は、子供たちが笑う表情が見られ、劇をわかってもらっているようでした。
そして公演が終わり、子供たちは、人形やセットに触れて、劇のイメージを膨らませました。
「津波の怖さがわかった。」
「シロがかわいそうだった。」
「普段の助け合いが必要だと思った。」
彼らの感想が、公演の成功を物語っています。 |
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団員の人たちは、
「巡回公演への手応えと共に、伝えていかなくてはいけない使命感を得た。これからも続けていきたい。」
と語りました。
劇団の枠を超えた新しいプロジェクトは着実にその歩みを進めています。 |