テレビ夕刊
野路毅彦の気になった特集週1便

【2005年2月24日】
今週、私・野路毅彦は月曜日・火曜日は、鼻詰まりの声。水曜日は枯れた声で、テレビ夕刊に登場。木曜日には、とうとう声が出なくなってしまい、テレビ夕刊を休むことになりました。診察の結果は声帯炎。「薬を飲んで『沈黙』していれば、早ければ土曜日に。普通にいけば、月曜日に声は出るでしょう」ということでした。水曜夜の寝床では、アナウンサーができなくなったら、何をしようか考えましたが、そんなに長引かないようで、ほっとしました。油断大敵ですけれど…そして、視聴者の皆様には、お聞き苦しい声をお届けしてしまって、本当にごめんなさい。

さて、その僕が休んだ2月24日(木)のテレビ夕刊の企画で、方言の本を出版した「浜言葉を遺(のこ)す会」の方々に登場してもらい、焼津の漁師言葉をたっぷりと披露してもらいました。例えば「バーカ、ウソッキャーダリー。オリャー、静岡くんだりまで、イカスカエレ」(共通語訳:「馬鹿、すごく疲れてんだよ。俺は、静岡なんかまで、行くわけないだろ」イヤー、訳すとかなり刺々しいですね。原語で聞くと、荒っぽくて、決して綺麗ではないけれど、刺さりはしません。)などなど。

浜通りのお年寄りには、中山儀助さんへのライバル心もありました。「放送で、儀助さんが喋っているような言葉が、志太の方言だと思ってもらっちゃあ、大間違いだ」と。それは、儀助さんの静岡方言に、どうも「わざわざ言おうとして、言っている感じ」を受けるからのようです。

まぁ、僕が弁護をすると、儀助さんに、方言で儀助さんの言葉を受け止めて、投げ返してくれる相棒がいないというのは、やっぱり、大きなハンディキャップだと思うのです。 方言の生き生きした感じが出るのは、どうしたって会話の中ですから。1人でいくら上手に喋ったって不自然に聞こえるのが方言だ、とも言えるのではないでしょうか?

その点、「浜言葉を遺す会」の皆さんは、幼なじみが、思い出した地域の表現を持ち寄り、御近所のネイティブ同士の、自然な会話の中で、その語彙を鍛えていくことが出来ている訳です。そりゃー、儀助さんの、放送局における一人方言と、生感覚・リアル感覚で、差が出てきても当然ですね。

さて、一昔前というのは、その言葉が「実は方言」だと、マスコミなどによって気付かされると、地元の人は使わなくなり、何時の間にか、方言として消えている。という時代だったそうです。かねてからの日本語ブームということもあるんでしょうか? この2005年、そんなムードは全くありませんね。方言にとっては、かつてない、追い風の時代。しかし、同時に、貴重語を、また、リアルな生きた会話のままに、後世に残すにはラストチャンスの時代でもあるのでしょう。お年寄りが持っている方言に対する危機感というのも、ひしひしと感じました。


週1便バックナンバー
テレビ夕刊のTOPに戻る