国のまとめによると現在、国内で介護が必要なお年寄りは340万人。
お年寄りの7人に1人が介護を必要としている計算で、介護を担う側の人材育成が急がれる。
『シリーズ老人福祉を考える』の3回目は、この介護をする側にスポットをあて、介護について考えた。
ことしの4月末、袋井市の山あいに、特別養護老人ホーム『ディアコニア』がオープンした。
新しい施設だけに、「新型特養」にも対応しており、ユニットケアを実践している。
つまり、個室で生活する8人から9人を1つのグループとしてとらえ、専属の職員が利用者のリズムに合わせて介護を行うのだ。
少しでも家庭での生活に近づけるのがねらいだ。
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袋井市に住む瀧田訓子さん(45)は、ことし5月から、この特別養護老人ホームで働き始めた。
実は瀧田さん、去年まで大手2輪メーカーのグループ会社で働いてた。
イベントの企画や運営、イントラネット、ホームページの立ち上げなど、 介護とは全く関係のない仕事だった。
「なぜ介護の世界に転職したのか?」
そこには、これまでの利益追求の仕事から 直接人のためになる仕事を、という思いがあった。
しかし、現実はそう甘くはない。
当時の収入が保障されるわけでもなく、介護の世界に飛び込むかどうか、瀧田さんは決断できずにいた。
そんな時、ショッキングな出来事が起きた。
実の父親がガンで入院したのだ。
ホームヘルパー2級の資格取得を目指して勉強し始めた去年6月のことだった。
「まだ自分には関係のないこと」。
どこか他人事だった介護に直面したことで、瀧田さんは決断できたのだった。
介護の仕事をする上で、家族の理解と協力は不可欠だ。
瀧田さんは夫との共働きで、小学生と高校生の子ども2人を抱えている。
当然家庭では、主婦としての仕事があるが、そのほとんどを同居している義理の母親に頼っているという。
実は、取材で自宅にうかがった日も夕方の5時から翌朝の9時までという夜勤の日で、一晩中家を空けることになった。
義理の母親の久子さん(68)は「今のところ私自身も健康だから転職を許した。
家事は私に与えられた仕事。必要とされることは幸せなことなんですよ。」と、嫁を暖かい目で見守っている。
転職から間もなく1ヵ月。
瀧田さんは、施設の利用者と1対1で接していると、時々入院していた頃の父親の姿を思い出すという。
特別養護老人ホーム「ディアコニア」施設長の山本治子さんは、介護はきつい仕事とした上で、「厳しい現実に耐え得るという意味では、社会経験が豊富な転職者はこれまでの経験が活かせるのでは。」と、指摘する。
「身内が病気にならなければ、今の自分はなかったかもしれない。」と、瀧田さんは言う。
確かに今や、介護はビジネスだ。
しかし、それだけでは割り切れない強い熱意が、今の瀧田さんを支えている。
ただ、今後身内で介護が必要となった場合、介護のプロとして関わるか、仕事を辞めて家族としてフォローするか、今の自分には判断がつかないとも漏らす。
瀧田さんの迷いは、そのまま介護における問題を表しているようだ。
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