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12月13日 医療を考える『少子化の波紋』(7) 「アトピー性皮膚炎治療の現状」
月曜日にお送りしてきたシリーズ企画、「医療を考える少子化の波紋」。最終回である今回は、アトピー性皮膚炎治療の現状を取材しました。

「アトピー性皮膚炎」。アレルギーや敏感肌という体質に、環境が影響して引き起こされる皮膚炎です。激しいかゆみを伴いますが、掻けば症状が悪化してしまいます。

患者の親は、『いつ治るか分からないから辛い』、『なぜこんな思いを、という風に思った』などと語ってくれました。

こうした悲痛な思いは、痛ましい事件を引き起こしました。また、患者や家族の心理に付け込む悪徳商法も出てくるなど、様々な治療法が氾濫、社会問題化しました。

しかし今、アトピー治療の現場では、一時の混乱を脱しつつあるといいます。

清水病院皮膚科の杉浦医師によると、一時期に比べて、重症の患者だけでなく、患者数も減ってきていると感じているそうです。

きっかけとなったのは、国や医学界が5年前から策定を始めた治療のガイドラインでした。

杉浦医師は、アトピーを単にアレルギー的な疾患として捉えるだけでなく、非アレルギー的な側面、肌のバリア機能の低下とも捉え、そうした両面の治療が欠かせないということを、ガイドラインは示した、と話していました。

弱い肌を守るためのスキンケアも、アトピー治療にとって、アレルギー対策と同じように大切です。

かつて、即効性を求めるあまり、アレルギー対策が強調され、治療法が氾濫したことを反省し、スキンケアなどの地道な治療も重要だということを、医師、患者双方が確認したのです。

一方、独特のアプローチで治療に取り組んでいるケースもあります。
林隆博医師は、自分の仮説に基づいた治療法を取り入れています。目指すのは、アレルギー体質そのものを改善すること。その治療法は、投薬する薬に特徴があります。

林医師はビフィズス菌や乳酸菌などの腸内細菌を混ぜた薬を出しています。どんな効果があるというのでしょう?

林医師によると、腸内細菌を与えることで正常に発達すべき免疫システムの成長が助けられるそうです。、アレルギーに関する人間の免疫システムは、主にばい菌と戦う細胞と、アレルギー源に対応する細胞の2つを持っています。そして、そのバランスを調節するのが腸内細菌の役割。腸内細菌が不足すると、アレルギー対応型の細胞が優勢となり、アレルギー体質になるのだと林医師は考えています。そのため、腸内細菌を投与し、バランスを取り戻す手助けをするというのです。

林医師は、最近の出産・育児は清潔を重視したために、親から子へ有益な菌が移りにくいので、その手助けとして薬を与えているそうです。食品や一般薬にも多く使われる腸内細菌で、林医師は安価で副作用の少ない治療ができるといいます。

この他にも様々な治療法が研究されているアトピー性皮膚炎。ただ、現在の医療では体質そのものを変えることはできないため、必ず治るといった治療法は、まだ確立していないのが現状です。

杉浦医師は、アトピーは単一の原因を克服すれば治るというものではなく、上手に付き合うこと、軽い治療で普通に日常生活を送れるというところを治療のゴールにして欲しいと話していました。

厚生労働省が2年前に実施した全国調査では、全体の11%もの子どもがアトピー性皮膚炎に罹っているという結果がでました。多くの人が悩んでいるからこそ、こうして治療の基本が確立したことは大きな進歩だと言えます。



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